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掲載日:2010年4月1日
事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)
研究開発テーマ:化成スラッジリサイクル技術の開発
自動車産業界においては、自動車走行時に発生するCO2等による、地球環境問題への対応が求められており、その低減方策の一つとして自動車の軽量化(アルミボディ化)による自動車の燃費向上の取り組みを実施している。ここで、自動車生産塗装工程におけるアルミボディ化の影響であるが、塗装前処理工程である化成工程で、従来の鉄ボディでは発生しなかったフッ素含有のスラッジが発生する。従来この化成スラッジは金属精錬工程にて金属回収しリサイクルを行っていたが、フッ素含有スラッジは金属精錬設備にダメージを与えるためこのリサイクル方法が使えなくなり、廃棄物化が懸念される。よってこの方法以外のリサイクル技術を開発する事で廃棄物の発生抑制と車両軽量化の両立を計ることとした。
研究期間:平成14年~
研究参加企業:トヨタ自動車(株)
概要
山根委員
今後の課題として耐久性とあったが、リン酸でpHが2であれば、膜の劣化が起こることは考えられないか?
研究参加企業
実ラインだと、処理液にはいろいろな不純物等が想定される。そのため、pHをコントロールしてどの程度耐久性を保てるかをこれから評価していきたいと考えている。
山根委員
膜の材料は何か?有機系の膜だと劣化が早いのではないかという気がするが。
研究参加企業
油分と界面活性剤はよくないとメーカーから聞いている。
春田委員
溶解工程でクリオライトを分離しているが、溶解しないのはクリオライトだけということか?クリオライトに他の溶解しないものが混ざってくることはないのか?
研究参加企業
100%ではないが、かなり高い確率でクリオライトしか残らないと確認している。
春田委員
そうするとクリオライトの粒子は、最初にスラッジに入っている粒子がそのまま出てくるということか?凝集して沈降性は良いのか?
研究参加企業
アルミのスラッジは鉄系のスラッジに比較して粒子が細かく、普通は連続セットリングという設備で沈降させて取るが、今回は、アルミの浮遊性の高さに着目し、全量ろ過というシステムを入れ、すべての化成液はろ過システムを通し、かすを取るという方法をとっている
春田委員
pH2程度のりん酸溶液なので、アニオン系のものが不純物としてクリオライトの方に入ってくる恐れがあると思うが、そのようなことはないか?電気化学的に言うと恐らくクリオライトはプラスのチャージを帯びていると思うので、アニオン系のものがかなりくっついてくるのではないかと想定するが。
研究参加企業
今後その点についても確認していきたい。
春田委員
再利用を考えていると思うが、そうなると多分品質の問題が出てくるのではないか?問題があるとすればアニオン系のものが不純物として入る可能性がある。
阪井委員
反応液のランニングコストについて、りん酸の回収等はどうか?
研究参加企業
まだコスト的な評価は十分に詰めきれていないので、今後、実施したいと考えている。
阪井委員
まだ試算等は行っていないということか?
研究参加企業
おおざっぱな計算はしているが、今後更に設備の簡素化等を実施しコストを下げないと、社内の基準に合致しない。
石原委員
最終的に排出される廃液は何か?
研究参加企業
液としては出ないが、物質としてクリオライトが出るだけで、処理液としては外に出ない予定である。
石原委員
それで物質の収支はあうか?蓄積されていかないのか?
研究参加企業
化成液に戻していくので蓄積はされない。