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掲載日:2010年4月1日

廃FRPの環境負荷を低減する亜臨界水分解リサイクル技術の開発

業名:産業公害防止技術開発事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:廃FRPの環境負荷を低減する亜臨界水分解リサイクル技術の開発

平成15年度は低温亜臨界水分解というコンセプトを考案し、グリコール、有機酸のモノマー化率、84%、24%を達成した。亜臨界水分解後の水溶液からの無機物、グリコール、有機酸、スチレンフマレートの分離回収プロセスも検討し、スチレンフマレートは樹脂全体の70%の重量比で回収できた。その結果、樹脂全体の再原料化率としては初年度の20%から81%へと大幅に向上させられ、熱硬化性樹脂としては従来にない再原料化率を達成できた。装置化検討としては亜臨界水分解/無機物分離プロセスについてベンチスケール実証実験を行った。再生品の再利用検討については回収されたグリコール、有機酸モノマーからの樹脂化に成功した。また回収された無機物の再利用の可能性も見極めることができた。

研究期間:平成15年~平成16年

研究参加企業:松下電工(株)

概要

平成15年度研究成果報告会での評価/講評

山根委員
樹脂成分、水溶液を、スチレンフマレートとグリコール酸、有機酸に分けるのはどうやってやるか?そもそもスチレンフマレートは水に溶けるのか?

研究参加企業
実際に溶けている。取りきれなかった無機物が沈殿して若干下に残っているが、あとは溶けた状態である。

山根委員
それでそれを2つに分けるのは実際どうするのか?

研究参加企業
確かに溶けるということ自身不思議で、我々も驚いていたのだが、それを特殊な方法で分離している。

山根委員
うまくいっているのだったらいいのだが。着色の問題も実際は製品化する場合、脱色するのに金がかかるように思うのだが?

研究参加企業
1つは酸素を遮断する方法を考えているのだが、どこまで着色を減らせられるかというのが非常に大きな課題と思っている。

松本委員長
この再生プロセスというのは、どの辺まで再利用の繰り返しが可能なのか?

研究参加企業
無機物については再生品を100%で使っていくと強度が10%程度ずつ劣化していく可能性はあるかと考えている。ただ今考えているのは再生品100%ではなくて、新品のものに何割か混ぜて使っていこうと思っているので、その程度の劣化というのは実用上、それほど大きくはないと思っている。それと樹脂に関しては、世界的にもこういう熱硬化性樹脂をモノマー化してもう一度樹脂にするという研究はおそらく今までなかったので、何とも言えないが、一応モノマーまでにはなっているので、それなりに繰り返して再利用することも可能と考えている。

一般参加者
こういう圧力容器の中に入れるためには、サンプルを粉砕しなければならないと思うのだが、その粉砕費用は、結局コスト的に合ってくるのか?FRPというとかなり粉砕が厳しいのかなと思うのだが。それから、こういう処理を行うために、物を一ヶ所に集めなければいけないが、この収集コストを入れた時に、これは実用化する時に成立するかどうか?

研究参加企業
粉砕については、FRPのリサイクル技術というのは、何年か前にNEDOでも微粉砕化してもう一度瓦に使う研究がされてきたかと思うが、数ミクロンまで粉砕するということになると、コストが合ってこない。弊社の場合は、どの程度まで粉砕するかは、今から最適化していくところだが、数mm単位くらいまでの粉砕でいけるのではないかと考えている。流動化させる必要はあるが、あまり細かくする必要はないと思っている。粉砕の点では採算性にのってくると思う。もう一つの質問の回収については、おっしゃる通りで非常にクリティカルな部分であるが、どのようなシステムにするのが安く回収できるかということについて、今後検討していかなければいけないと思う。収集の拠点を分散配置するとか、そういうことで何とかコストを低減させていきたいと思っている。

古市委員
この方法は環境への負荷はないのか?

研究参加企業
ひとつは枯渇資源である石油が埋め立てられて、浪費されていたのを再利用するという点で環境負荷を低減できると考えている。それからCO2の排出については、まだ正確に計算はできてないのだが、樹脂にするまでにかなりのCO2が費やされているというデータがあるので、試算した段階ではCO2としても削減できる可能性があるのではないかと考えている。詳細な検討は今年度行う予定である。

森委員
こういうプロセスは、常温からの反応温度までの昇温速度がかなり効くと思うので、スケールアップする時はぜひその辺を注意してやるようにと思う。

研究参加企業
はい。ありがとうございます。

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