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掲載日:2010年4月1日

亜臨界水分解によるFRPの水平リサイクル技術の開発

事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:亜臨界水分解によるFRPの水平リサイクル技術の開発

処理困難物として問題化してきているFRPをバッチ式亜臨界水分解実験装置を用いて、ラボスケールでの亜臨界水分解技術、再生FRP成型技術の開発を実施した。

亜臨界水分解技術としては触媒無添加の樹脂のみの場合に比べて、アルカリ触媒の効果により反応率と樹脂原料の回収率が向上することを確認し、その中でもCaCO3が最適であった。CaCO3を用いて反応条件を最適化し、反応温度が330℃、反応時間が40分でグリコール類を60%、フマル酸を23%、回収することに成功した。

再生FRP成型技術としては、回収した再生樹脂、無機物を原料としてFRPに再成型できる可能性を確認し、回収無機充填材、ガラス繊維粉砕物を用いて実際に再成型した樹脂モデル板で物性評価を行い、新品の無機充填材と同等の強度であることを確認した。

研究期間:平成14年~

研究参加企業:松下電工(株)

概要

平成14年度研究成果報告会での評価/質疑応答

春田委員
FRPのような複合材料をリサイクルするという試みは非常に重要だと思う。モノマーリサイクルのところで、炭酸カルシウムが最適であるという説明だが、これは触媒として効いているのか、亜臨界水中に溶けたカルシウムイオンが効いているのか?それと、炭酸塩であるということは溶解度をコントロールするために重要なのか?一体、何が一番触媒として効いているのか?また、溶解度として、ちょうど炭酸カルシウムが良いというだけであって、炭酸塩は特に効いていないのか?

研究参加企業
仮説だが、一つには、カルシウムがフマル酸カルシウムになって、非常に溶けにくいものになり、沈殿していき、反応系外に出て行くのではないかと考えている。それに対して、ナトリウムなどだと、フマル酸ナトリウムは水溶性なので、系外に出ず、フマル酸自身としてはまだ生きているのではないか、ということが大きいと考えている。そういう意味では、カルシウムイオン自身が効いているのではないかと思う。ただ、溶解度は常温のものしかわからず、亜臨界水状態での溶解度はデータがないので、その辺りは今後詰めて、効き方を考察したいと考えている。

春田委員
フマル酸と塩を作って、その溶解度が非常に重要だとすると、必ずしも触媒的な作用ではなくて、むしろ系内から取り除く分離の作用として、反応に効いているということになる。今の段階では、触媒的な働きなのか、反応系内の分離に効いているのかについては明らかではないということか?非常に面白い結果なので、是非、メカニズムも詰めてはどうか?

研究参加企業
メカニズムについては、企業では突き詰めにくい部分がある。全体のプロセスから考えると、フマル酸カルシウムは回収して、後で炭酸カルシウムに戻すつもりなので、広義の意味では触媒と理解している。

小林(猛)委員
大変興味深く聞かせてもらった。ファイバーも再利用しようとするとあまり微粉砕できない。粒子径がある程度残っている状態だと、どうやって連続的な形で反応器に入れるのか?

研究参加企業
非常に重要なポイントで、連続プロセスにするには、1.7ミリアンダー位の粒にしている。プラントメーカーに聞くと、1.7ミリアンダーで300℃の圧力までは既存の高圧ポンプで送った実績があるが、それ以上になると難しいという話がある。一つには実績のある300℃まで温度を下げていくという課題と、もう一つはできるだけガラス繊維をガラス繊維として再利用するという課題があり、今後検討したいと考えている。

石原委員
大変興味をもって聞いた。触媒として使っている炭酸カルシウムは最終的にはファイバーと一緒になってしまっていると思うが、その点はどうか?最後に出てきたものをリサイクルで使おうとするとFRPに炭酸カルシウムが入ってくると思うが、その影響はあまり出ていないというのが妙ではないか?

研究参加企業
炭酸カルシウムは、中和したフマル酸カルシウムになり、再利用するときには触媒の部分は除くように考えている。ただ炭酸カルシウムは無機充填剤として使えるのでFRPに混ざっても問題ないと考えている。フマル酸カルシウムについては、フマル酸を回収したいと考えているので、もう一つプロセスを設けてフマル酸を回収し、炭酸カルシウムと分けることを考えている。

石原委員
温度依存性のところでなぜ超臨界ではなく、亜臨界なのか?

研究参加企業
超臨界水になると、反応が高すぎて、モノマーとして回収できないためである。

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