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掲載日:2010年4月1日
事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)
研究開発テーマ:化学合成系生分解性プラスチックのコンパウンド化による新規生分解性樹脂原料の開発
近年、地球環境保全等の見地から生分解性プラスチックの実用化が期待されている。我が国のプラスチック総生産量は1,500万トン/年であり、生分解性プラスチックの市場規模はその10%、150万トン/年(2015年)と推測されている。しかし、実際に国内で生産された生分解性プラスチックは、現在約2,000トン/年にとどまっている。価格の問題も然る事乍ら、市場に出ている生分解性プラスチック原料は、従来のプラスチックと比較して加工性・機械的特性に劣っていることが、市場拡大を遅らせている原因の一つである。この問題を解決すべく、化学合成系の生分解性プラスチックを中心に、コンパウンド化することによって、加工性・機械的特性を向上させた新たな生分解性樹脂原料を開発する研究を行った。
研究期間:平成14年~
研究参加企業:ダイトーエムイー(株)
概要
山根委員
開発中の生分解性プラスチックの用途は考えているのか?どのような用途に向くのか等の出口のニーズは調査しているのか?
研究参加企業
生ゴミ専用の袋など、使用中にある程度の強度が必要になるものを想定している。現状のものだと引き裂き強度が弱いという問題がある。
小林(猛)委員
ドライブレンドの評価法では目標を達成できるような形のブレンドができたということだろうが、要はコンパウンドではどのようなことをやったのか?単軸の押し出し、スクリューの改良などはどの程度実施したのか?二軸等の検討もしたのか?
研究参加企業
二軸も視野に入れているが、当社では単軸の混練の独自技術をもっているため、独自性を保ちたいということで単軸を選んだ。また、単軸は、スケールアップなどの生産性が大きくとれる。コンパウンドするには、工数がかかることもあり、後々の生産を考え、単軸で検討した。
石原委員
強度を上げるという意味で、いろいろなプラスチックを混ぜるというのは理解できるが、逆に生分解性が落ちていくと思う。今回の発表では生分解性の評価が全くされていないがその点はどうか?
研究参加企業
1年目は強度に焦点を当てており、生分解性の評価は今後の課題であると考えている。
石原委員
生分解性を謳っている以上、生分解性の評価は一番大事で、強度が出ても生分解性がなくなってしまったら、混ぜない方がいいということになる。
研究参加企業
選んでいる原材料は、生分解性プラスチック研究会という民間の任意団体で認可されたものを優先的に選定しているが、混ぜたあとの生分解性の検証は、今後の課題である。
原口委員
今後、燃料電池やRPFなどバイオマスを使うものが増えると思う。そうなると、目標にある150万トンを生分解におきかえるというのは無理なのではないか?
軽部委員長
引っ張り強度も強くて、土に入るとうまく分解されるというものを作るには、仕組みが必要なのではないか?単純にコンパウンドしてポリマーをインフレーションで作るのではなくて、ラミネート構造を作るなど。もう少し知恵が必要ではないか。