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掲載日:2010年4月1日

環境に優れたマルチ燃料仕様燃料電池の実用化開発

事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:環境に優れたマルチ燃料仕様燃料電池の実用化開発

1kW級LPG燃料電池システムの評価試験および、1kW級灯油仕様水素製造装置の製作と評価を施し、以下の成果を得た。

  • (1)1kW級LPG燃料電池システムの評価試験
    起動回数98回のDSS運転を実施した。累積発電時間は425時間であった。
  • (2)1kW級灯油仕様水素製造装置の製作と評価
    • (イ)1kW級灯油仕様水素製造装置を製作し、運転を実施した。
    • (ロ)装置の改質ガス組成は目標値のCO<10ppmをクリアできた。
    • (ハ)金属のワイヤーメッシュを触媒の支持体とした触媒を使用したことにより、起動時間の短縮および装置のコンパクト化を図ることができた。

研究期間:平成13年~平成14年

研究参加企業:新日本石油(株)

概要

平成14年度研究成果報告会での評価/質疑応答

軽部委員長
新聞で家庭用の燃料電池のモニターを50万円程度で市販する予定であると読んだが、それらと比較して、この技術の特徴は何か?

研究参加企業
50万円程度のモニターが展開する中で、装置として実際に商用化される時に起動時間、コンパクト化という点で、まだ実用的とは言いがたい部分がある。本技術では、今の段階から、コンパクト化、起動時間短縮等を含めて評価し、商用機を作る時に反映させたい。特に今回、ワイヤーメッシュという触媒を掲げたが、これが起動時間の短縮、装置のコンパクト化に有効であると考えている。

春田委員
灯油を燃料として、これを改質して水素を作るということから、触媒の点でかなり難しい点もあると思う。コークの析出が起こりやすい点をどのように解決しているのか?コークの析出に関するデータを示して欲しい。また、その問題を解決するために、触媒についてどのような工夫をしたか?特に水蒸気と燃料の比率はどのくらいの範囲で試験をしたか?

研究参加企業
灯油の改質については、リン酸型燃料電池を研究しているときから着手しており、触媒、活性金属に対して、コークの析出のしやすさについてはデータをとっていて、最終的には活性金属に対しては貴金属系を用いた方が良いと判明した。また貴金属系触媒を用いただけでは、寿命という点で、コーク析出や硫黄の吸着による劣化があるが、灯油用にコーク析出を抑制する手段として、活性金属(貴金属系)を用いるだけでなく、第3成分のものを添加することによって抑制を図っている。また、スチーム:カーボン比については、過去の実績から、一般的に3.0以上あたりが比較的長期に運転できる最低限界であると考えている。

小林(猛)委員
ワイヤーメッシュのところにポーラス(多孔質)な形でいかに良い触媒を作るかという触媒選定とどのように小さなリアクターに吹き込むかという点が本技術のキーポイントだと思うが、そのあたりのところは各社でいろいろやっていると思う。貴社の特徴はどのくらい連続運転(コークが析出せずに)できるのか?連続運転でどのような実績があるのか?

研究参加企業
触媒のライフ(寿命)については、目標としては、4万時間を持たせたいと考えているが、実際に灯油を使ったものとして、まだそこまでのライフテストは行っていない。現在手元にある開発品の触媒で、少なくとも1万時間は超えるようなライフテストを実施したいと考えている。

石原委員
起動までに40分位かかると思うが、この間に過大なエネルギーが消費されると思う。作動温度が高すぎるので、このようなことが起こるのだと思うが、作動温度を下げるような工夫はしているのか?

研究参加企業
炭化水素系の燃料を使用して、水蒸気改質を行う場合は、600~700℃の温度域が必要になるのは止むを得ないと考えている。その温度までいかに早く上げるかについて、通常外部加熱のところを部分酸化で内部加熱をすることによって、起動時間を短縮できないかを今回検討した。

石原委員
そのようにすると、触媒が金属メッシュであり、それに酸化物を持っていくことになるので、触媒の劣化がかなり早くなると思われる。相矛盾した2つの点を解決しなくてはならないのでは?

研究参加企業
ワイヤーメッシュ触媒はもとは、燃焼系の触媒として使われることが多く、熱的なものによる劣化は比較的少ないとみている。

平成13年度研究成果報告会での評価/質疑応答

委員
LPGによる発電の最終的な目的は何か。

研究参加企業
電気も発電できる給湯器という位置付けで考えている。発電効率だけであれば約35%、熱の利用も考えると総合効率で75~80%を狙っている。実際、発電だけであれば、買電で購入した場合でも発電効率は35~6%くらいなのであまりメリットはない。熱まで利用して始めてメリットの出る設備である。

委員
電気なら各家庭には既にきている。それに、家庭需要としては太陽電池の設置の可能性もある。研究開発している燃料電池とこの2者を比較すると経済性はどうなのか。

研究参加企業
電力会社による電気では35%の効率、研究中のLPG燃料電池では75%の効率を目指しており、40%のメリットがある。太陽電池はイニシャルコストとして1kWなら70~80万円位する。一般家庭に入っているものは3kWで270~280万円位する。燃料電池システムが1kW50万円ならば、5~6年で回収できると考えている。家庭の給湯器はだいたい30万円くらいなので、50万円で上市できれば、メリットは高い。

委員
電池部分は御社が製造しているのか。

研究参加企業
別の会社(メーカー)で製造している。電池コストの1/4が電池のスタックである。

委員
給湯器を考えると、太陽光を利用したものの方が安いのではないか。

研究参加企業
確かにその方が安いかもしれないが、発電はできない。

委員
計算してみたところ、太陽光発電は、損傷により、設置しても元を回収しきれないことがある。

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