文字サイズ
拡大
縮小
色変更
標準
青地に黄色
黄色地に黒
黒地に黄色

English

  • お問い合わせ
  • サイトマップ

明日の地球のために

ホーム > 調査・研究 > 研究 > 新エネルギー > 超臨界技術を用いた超重質油改質技術の開発

ここから本文です。

掲載日:2010年4月1日

超臨界技術を用いた超重質油改質技術の開発

事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:超臨界技術を用いた超重質油改質技術の開発

超重質油資源は性状が劣悪であることから、膨大な埋蔵量を有しているにも係らず、その大半が未利用である。超重質油の品質を高め有効活用可能とすることは、石油資源の長期的な安定供給に繋がる。それを実現する一つの技術として、超臨界水による改質が考えられる。すなわち、超臨界水が持つ優れた反応性を超重質油の分解へ適用することにより、高粘度・高硫黄分といった性状を改善することができれば、資源利用に際しての環境負荷低減が可能となる。

本研究の最終目標は、超重質油資源の改質を、超臨界水を用いた連続処理プロセスにて実現することである。3年計画の1年目として平成14年度は、超臨界水中における超重質油の改質(低粘度化および脱硫黄)条件把握を行うとともに、改質プロセスについて検討を実施し、以下の成果を得た。

  • (1)超重質油の低粘度化
    既存設備で使用可能な粘度(280cSt @50℃)にまで低減させることが可能な条件を把握した。
  • (2)超重質油からの脱硫
    超臨界水の密度が脱硫効率に大きく寄与することを見出し、70%以上の効率で脱硫可能な条件を把握し、硫黄含有率ではA重油クラスにまでの改質を可能とした。
  • (3)超重質油改質器概念フロー構築
    基礎試験データをもとに改質器の概念設計を行い、投入熱量に対して1.6倍量の資源回収が見込めるフローを構築した。

研究期間:平成14年~

研究参加企業:中部電力(株)

概要

平成14年度研究成果報告会での評価/質疑応答

小林(猛)委員
大変おもしろい結果が出ていると思う。現在はバッチなので問題ないと思うが、超臨界水の問題点として、アルカリも加えると、SUS(ステンレス)の腐食問題はどの程度か?

研究参加企業
ランニングコストにかかってくる。当然のことながら腐蝕は発生するが、SUSは高級ではないほうが良い。高級になるほど、SUSがもっている微量の添加元素の反応が進んで硫化腐蝕を起こして寿命を短くするという結果がでている。現在、このデータを細かく解析して、ミニプラントの設計に入っている。実際に運転して、予想の寿命がでれば、パイロットプラントのランニングコスト、プラント建設費が出せる。熱エネルギー的には、成立しているが、あとは経済性である。成立点、どの規模で経済的にも成り立つかを今年把握する予定である。大雑把な試算では、例えば加工済みのオリマルジョン(粘度を下げたもの)を処理して、エネルギーカロリー計算をすると、ほぼ重油と同じコストで処理できるという結果が出ている。

春田委員
現在の脱硫は水素化脱硫であるが、一方超臨界も高温高圧条件を作るのにかなりのエネルギーを要するプロセスである。現行のプロセスに対して、超臨界水を用いて脱硫することのメリットは何か?この場合、硫黄分はどのような形で取れるのか?

小林(猛)委員
火力発電所では、余っている超臨界水があるのでそれを使えばエネルギーの有効利用ができるということではないか。

研究参加企業
その通りである。硫黄分は、水酸化ナトリウムを添加しているので、Na2Sとして取っている。

春田委員
ボンド(鎖)が切れた後の形はかなり不飽和度が高い炭化水素なのか?

研究参加企業
飽和度や分子量分布については今後調べる予定である。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。