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掲載日:2010年4月1日
事業名:産業公害防止技術開発事業(経済産業省補助事業)
研究開発テーマ:超臨界技術による超重質油の高品位化技術の開発
本開発の目的は、劣悪な性状ゆえ、ほとんど利用の進んでいない資源「超重質油」について、超臨界水を用いて改質することにより、その粘度を低減させ流動性を付与するとともに、含有する硫黄分までをも低減できるプロセスを確立することである。3年計画の2年目として平成15年度は、脱硫率の向上および連続処理プロセスの構築に注力し、以下の成果を得た。
研究期間:平成15年~平成16年
研究参加企業:中部電力(株)
概要
森委員
1~2週間前に新聞に、エドモントンでオイルサンドを精製したものをバンクーバーの北へパイプラインで出して利用するというふうに出ていたと思うが、この研究には超重質油というのがさかんに出てくるが、これは元の話なのか、バンクーバーへ出てきた油を対象としているのか?
研究参加企業
出てきた油である。油というか、出てきたものを今は実際にはアップグレーディングという処理が既存技術である。これは水添処理で、水素を無理やり付けて大型の高温高圧の中で改質するのだが、これだと非常にコストがかかるということで、実際にはエマルジョン化、界面活性剤を混ぜて、そうすると油が…。
森委員
オリノコタールはそうだけれど。
研究参加企業
同じです。カナマルジョンという商品化を検討されたそうで、結局同じです。
森委員
パイプラインで出てくるのはそれか?
研究参加企業
そうです。だから、そこを何とかしたいと。実はカナダの方から、オイルサンドをいただいてぜひ処理して欲しいということで、今、処理の検討を行っていて、実は、お見せした連続装置で改質した油というのはカナダの油を使っている。
小林(猛)委員
初めて聞かせていただいて大変おもしろいなと思うのだが、今開発しているのは最初のトライアルだからこれでいいのだろうけれども、次ぎのステップとしては、粘度を下げる超臨界処理と脱硫とを分けて、脱硫に関しては硫酸カルシウムのような固体として回収する方向でないと、ちょっと経済的なプロセスにならないと感じました。さらに、もう少し温度を下げるために、中空の反応器よりも、何かちょっと気の利いた触媒の開発などを行い、もう少し将来的なプロセスを目差して模索した方がもっと優れた形になるかなあ、と思った。
研究参加企業
ありがとうございます。その通りと思っており、次ぎの課題はそこにあると考えている。
松本委員長
Na2Sが反応炉の中で再度分解するということはないのか?
研究参加企業
ない。
松本委員長
どうして?
研究参加企業
どうしてと言われても、そのままで出てきてしまうので。
松本委員長
今、小林先生のご指摘があったように、石膏みたいな格好で固体として取り出す方法がいいのだろうけれども、実際にはそんなプロセスはできるのか?
研究参加企業
できると思う。技術的にまず硫黄が取れないことには話しにならないので、とりあえずNaを放り込んだ。硫黄が取れることが分かったので、違う形のプロセスを取りながら、先生がおっしゃったように触媒等もからませ、また、温度を下げると収率もどんと上がるということが分かったので、そこの辺を盛り込みながら、次ぎのパイロット機にはそれを持ち込みたいと考えている。
松本委員長
触媒の使い方で、いろいろな脱硫ができるわけですね。
研究参加企業
反応形態が変わるので。これは今、水の中の水素を供給しているだけなので、還元場としてプロトン供給しているだけなので。
松本委員長
ルテニウムか何か使うのか?
研究参加企業
その辺は、今からである。
細見委員
水熱反応だが、これは酸素はもちろん入っていないのか?
研究参加企業
入っていない。
細見委員
ナトリウムは最初から入れているのか?
研究参加企業
途中から入れる。フローには載っていないが、反応管の頭の所に横からもうひとつ投入のバイパス回路を持っている。