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掲載日:2010年4月1日

エラストマー製造プロセスにおける高効率ハイドロカーボン回収プロセスの開発

事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:エラストマー製造プロセスにおける高効率ハイドロカーボン回収プロセスの開発

溶液重合によるエラストマ-製造プロセスでは、一般的に、重合時に用いた有機溶媒(ハイドロカーボン;以下、HC)を脱溶媒工程においてスチームストリッピング法によって回収しているが、この脱溶媒工程では完全には脱溶媒しきれず、脱溶媒工程から固形で排出されるエラストマ-(クラム)中に残留する。

本研究の目標は、エラストマー中に残留しているHC量を半減させる脱溶媒技術およびプロセスの開発である。

3年計画の最終年度となる平成14年度は、現行技術の高効率化として、前年度までの検討で脱溶媒改善の効果が高いことを確認しているコーンケーブ翼を他品種プロセスへ展開し、品種の影響を受けずに効果を発現するかの確認を行った。

新技術開発としては高いエネルギーメリットが期待できる間接加熱ラインフラッシュ法の実用化の見極めを行った。また、直接加熱ラインフラッシュ法においては、スチーム分割方式をプラントへスケールアップし、プラントスケールでの効果を検証し、スチーム使用量を増加させずに、残留溶媒量を現行対比で4~5割低減するプロセスを開発した。

研究期間:平成12年~平成14年

研究参加企業:JSR(株)

概要

平成14年度研究成果報告会での評価/質疑応答

小林(猛)委員
溶剤回収率を上げるために、二段にする意味はわかるが、クラムがあれだけ大きければ、中にある溶媒が外に出てくるのに時間がかかる。クラムの粒径をもう少し細粒化するという工夫をすればもっと溶媒が出やすくなるのではないか?

研究参加企業
おっしゃる通りである。今回の脱溶媒現象を解明した結果、物質移動が律速になる。それを改善するには、クラム粒径ダウン、拡散速度を上げるために温度アップといったことが、対策として挙げられる。実際に温度アップについては検討し、その効果も確認しつつある。クラム粒径ダウンについては、仕上げ側、つまり後工程の問題があって、小さくすることはできずに、温度アップでの拡散速度を上げようとしている

軽部委員長
年間どのくらい大気中に放散しているのか?

研究参加企業
四日市工場では溶液重合で年間5万トン程生産しているが、その約1%の500トン程の残留溶媒が出ている。

軽部委員長
それは半分になっても250トンということか。

原口委員
大気での放出のところで抑えられないのか?

研究参加企業
次の手段としては、乾燥系から出てくる排出ガスを活性炭でとるか、燃焼させる等になると思う。ただ、設備的に莫大な投資がかかるため、今回は第1段階で脱溶工程での対策を検討した。

軽部委員長
溶媒の種類は何か?

研究参加企業
シクロヘキサンである。

山根委員
攪拌翼を改良して良くなったということだが、それはどういう効果があるのか?

研究参加企業
ストリッパーの中は液相中に固相(クラム)があって、そこにスチームを投入する気液固相の状態である。コーンケーブ翼は、クラムをしっかり捉えて、攪拌することができる。そのため、スチームとクラムの接触効率が上がったと考えている。

山根委員
気液系ではディスクタービンのほうが良いのか?

研究参加企業
一般的に気液接触では気体の量が増加すると、圧力が低下する撹拌翼の裏側で気体が膨張し、空回りのように撹拌が利かなくなる。一方、コーンケーブ翼は後方が凸状で圧力が低下しにくく、ディスクタービンよりも気体が多いところで液を回す能力がある。

平成13年度研究成果報告会での評価/質疑応答

委員
直接加熱法と間接加熱法のコストの違いはどうか。

研究参加企業
間接加熱法は二重管にしなければならず、また、一つの管あたりの処理量が少ないので、多数並べなければならないため、コストが非常に高くなる。従って直接加熱法の方がコスト的に安い。結局は直接加熱法でいかに脱溶媒効率を上げるかが課題となる。

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