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掲載日:2010年4月1日
事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)
研究開発テーマ:セメントキルン用高効率低NOxバーナの開発
環境汚染負荷物質である窒素酸化物(NOx)の発生量を抑えたセメントキルン用高効率低NOxキルンバーナの開発、ならびにこの開発の支援技術であるセメントキルンバーナの燃焼シミュレーションによるNOx発生量解析技術の確立を目的に本技術開発に着手した。
本年度は一般的なセメントキルンをモデルとした流体および燃焼シミュレーションに改良を加え、シミュレーション結果からキルンバーナ燃焼におけるNOx発生挙動を解析し、NOx低減メカニズムを検討し、本開発バーナの基本コンセプトを策定した。このシミュレーション結果も踏まえ本開発バーナの設計を行い、実操業キルンでの実機試験を実施した。
研究期間:平成14年~
研究参加企業:太平洋セメント(株)
概要
軽部委員長
バーナの燃料は何を使っているのか?
研究参加企業
微粉の石炭、オイルコークスである。
軽部委員長
廃タイヤ等を燃やすということではないのか?
研究参加企業
廃タイヤ等の廃棄物はセメントキルン尻に投入し、燃焼させている。
軽部委員長
100ppm程度NOxを下げても、(排出ガスを)排出できる濃度ではないのではないか?
研究参加企業
バーナのところでの発生NOxを100ppm低減することにより法規制値をクリアできるので目標とした。なお、バーナの燃え方によってはNOx濃度が上がる場合もあり得るので、その時は脱硝剤で対応することになる。
小林(猛)委員
シミュレーションに使われた数値流体力学というのはいろいろなところで使われていて、その有効性はよくわかっているので、バーナの設計でシミュレーションを使用するのは理解できるが、バーナのシミュレーションと実機での検証との関連が不明である。実機とシミュレーションは大まかに一致するなどの結果はでているのか?
研究参加企業
燃焼性については細かく検証しているが、NOxについては現段階では方向性について検討しているところである。今年度、来年度で詳細な検証を進めて、技術確立をする予定である。
春田委員
シミュレーションをして、実機でかなり成功したということだが、NOxは高温領域で発生するので、そうなるとNOxの分布と同時に炉内の温度分布とのデータがあって、初めてシミュレーションがベースになって実機で成功したと論理的に説明できると思う。温度分布との関係は調べているのか?また脱硝剤はアンモニア添加ということか?説明のあった資料で原単位との計算が合致するように思えないが?
研究参加企業
温度との関係は、実際の温度測定は非常に困難なので、シミュレーションにて検証を進めている。また、炉内温度の分布を含めたNOx生成因子およびNOx還元因子の分布もシミュレーションを行い、NOxの分布との関係を理論的に説明することも最終的な目標として取り組んでいる。資料の説明が不足していたが、Eバーナを使用している時の原単位を100として減少分を計算した。
春田委員
固形燃料を微粉砕したものを使った場合でも、燃えきらない固形の状況になっているとヒートスポットを作りやすいと思うが、ヒートスポットになるような状況は想定しているのか?特にNOxは、そのようなメカニズムから発生することが多いのでは?
研究参加企業
そのようなことから、燃え切り性能を良くして、初期にVolatile NOxやChar NOxを発生させ、バーナ内の還元領域に取り込んでやろうという思想である。
春田委員
ということは固形物がほとんどないという状況もシミュレーションに含まれているのか?
研究参加企業
未燃分、カーボンの燃焼速度もすべて含まれている。