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掲載日:2010年4月1日
事業名:産業公害防止技術開発事業(経済産業省補助事業)
研究開発テーマ:微生物の高密度固定化による高度排水処理プロセスの実用化
研究期間:平成15年~
研究参加企業:住友化学工業(株)
概要
松本委員長
CFA(石炭灰フライアッシュ)というのは石炭火力発電所で発生するのか?
研究参加企業
そうです。
松本委員長
そうすると実際にはCFAよりももっと細かい灰の方が量的にはものすごく多くて、火力発電所ではそちらの方を非常に処分に困っているということがあるのだが、その点は最初の段では気付かれなかったのか?
研究参加企業
我々も文献とか実際に火力発電所の方と話したことがあるが、フライアッシュというのは石炭を燃やした後の電気集塵器で集めた微粉末です。あとボトムに落ちるクリンカがあるが、先生がおっしゃっているのはこちらの部分かと思うが、基本的にクリンカも何らかの形で砕けばフライアッシュと同じものになると文献にも出ていた。しかしフライアッシュも相当な量出ていて、例えば西暦2000年ぐらいでは予想値だが日本国内で1千万トンぐらいと聞いているので、建材への利用とか転換が図られているが、まだまだフライアッシュもかなり処分に困っているものだとというので、我々がこういう微生物の担持に使う程度だと量的には高々しれているので、扱いやすいフライアッシュを使った。
松本委員長
硝化率が高いと脱窒率も高いというふうに考えてよいのか?
研究参加企業
硝化にスライドして脱窒がよくなるということはなく、我々も最初は硝化なみの脱窒の上がり方というのを期待していたのだが、なかなか思ったようには上がらない。例えば脱窒すると、非常に窒素ガスの発泡、それから内部の蓄熱も大きくなるので、たぶんそういういろいろな障害があって、実質上、機械装置として完成するにはあれぐらいのレベルまでかなというところで妥協した。
松本委員長
硝化菌の固定化は集積培養の原理を応用しているのか?
研究参加企業
集積培養というのは、そういう高濃度でストレスをかけて、高密度化すると、それに近いわけだが、一応プロセスとしては連続なので、…。
松本委員長
アンモニアを添加するプロセスがよく分からなかったのだが、これは連続的にアンモニアをどんどんどんどん加えていく方法か?
研究参加企業
そうです。
松本委員長
そうすると、その方法では集積は起こりにくいのではないのか?要するに硝化菌というのは、例えば還流装置なんかで非常によく分かるのだが、一旦加えておいて、そして新たにアンモニアの培地を入れると、だんだん硝化菌の集積が顕著になって、ついには100%に近い程度の硝化菌の集積があるという性質を持っているのだが、これでは硝化菌のいわゆる窒素の生物学的処理が不安定というのは、ひょっとすると硝化菌の集積がまだ不十分ではないかというふうに感ずるのだが、その点はどうか?
研究参加企業
バッチ集積のようなところは厳密には比較検討を、同じ条件でしたデータはないが、この連続条件というのは、入ってくるアンモニア濃度を経時的に上げていくわけである。単位容積当り、いわゆる容積負荷という排水処理の場合表現をするが、単位時間当り・容積当りのアンモニア体窒素の負荷量を非常に対数的に上がっていくような培養の仕方をしている。いわゆるアンモニア体窒素の除去率・硝化率としては98%とか常時維持するような形でやっている。
小林(猛)委員
発表を聞いて私にはちょっと何を開発されようとしているのかよく分からない。これまでにも、硝化操作・硝化菌および脱窒操作・脱窒菌については非常に多くの研究がされてきました。別々の槽で硝化と脱窒を行う研究も非常に多い。それらの成果をふまえて、本開発では何をやろうとしているのかが不明確です。一番問題なのは、硝化と脱窒という、酸素に対する条件としては相反することを1つの槽でやるということが目標でなければ、効率的な窒素除去を目指したブレイクスルーにならないのではないか。そのためには、固定化の担体をもっと大きくして、担体内部に脱窒菌、外側に硝化菌が棲みわけるようにし、pH調整などいらない、さらにはメタノールを添加するなどというコストアップになることはやらない、といった形の実用的なプロセス開発を目差さなければダメではないですか。
研究参加企業
ご指摘は真摯に受け止めます。ありがとうございます。