文字サイズ
拡大
縮小
色変更
標準
青地に黄色
黄色地に黒
黒地に黄色

English

  • お問い合わせ
  • サイトマップ

明日の地球のために

ホーム > 調査・研究 > 研究 > 水質 > 微生物の高密度固定化による高度排水処理プロセスの実用化

ここから本文です。

掲載日:2010年4月1日

微生物の高密度固定化による高度排水処理プロセスの実用化

事業名:地球環境保全関係産業技術開発促進事業(経済産業省補助事業)

研究開発テーマ:微生物の高密度固定化による高度排水処理プロセスの実用化

  1. 石炭灰フライアッシュを用いた微生物の凝集固定化技術によって、生物学的窒素除去を効率的に達成する高度排水処理プロセスのスケールアップ要件を明らかにした。
  2. ベンチスケールの実証試験により、1.記載のスケールアップ要件を検証・確認した。
  3. パイロットスケールの実証試験により、1.記載のスケールアップ要件を検証・確認した。
  4. 以上の成果をもとに、本高度排水処理プロセスが、実用規模で所期目標の窒素(N)除去性能(2kg-N/m3・D以上)を満たしうるとの確証を得た。

研究期間:平成13年~平成14年

研究参加企業:住友化学工業(株)

概要

平成14年度研究成果報告会での評価/質疑応答

軽部委員長
長期的に運転してどのくらいか?

研究参加企業
誘導期間を入れて約3ヶ月、試運転やパイロットプラントの調整期間を入れると約5ヶ月になる。

軽部委員長
実用化するとなると数年間程度安定運転が必要だが、何が要素か?

研究参加企業
今のところ、外的影響もかなり大きく、外気温度、特に真夏になると、40℃程度に上がることもあり、その時点でパフォーマンスが維持できるかを現在確認し始めているところである。

小林(猛)委員
硝化工程と脱窒工程を分ける意味が不明である。フライアッシュを固定化担体に使っているのだから、フライアッシュのかなり粒径の大きいものを使えば、表面付近は硝化菌がつき、中に嫌気性の脱窒菌が自然につくのではないか。そうすれば、硝化と脱窒が一緒にできると思われる。説明資料では、pH調整剤ということで、片方ではアルカリ、片方では酸を使ってpHを調整しなければならない。硝化工程と脱窒工程を一緒にすればそのプロセスも不要である。ただ、その場合でも空気は吹き込む必要はあるだろうが。フライアッシュの粒径を変えればもっと実用化に近い形に行くのではないか?

研究参加企業
粒径を変えるのことはあり得る。ただ、廃棄物であるフライアッシュを使っているため、分級するとなると手間、装置コストがかかる。現在は数~数十ミクロンが混ざった状態で仕込んである。できれば、分級もして効果の確認もしたいと以前から考えていたが、現実問題として、廃棄物の有効利用という観点で、何もしなくても使えるという特徴が色あせてしまうので、優先的には検討していない。

小林(猛)委員
分ける必要はなく、大きな粒形を積極的に使えばいいのではないか?

研究参加企業
硝化、脱窒を一つのシステムでやるという方法は当然あり得ると考えているが、そうなると、有機物も当然、同じ漕の中で受けることになる。有機物によっては、硝化細菌の増殖を阻害することもあり得る。試みで、1スラッジ系で実験した結果、硝化、脱窒はできるが、硝化の効果が低くなり、トータルとして、目標値の2kg-N/立方メートル・日に達しないという壁にぶつかった。従ってあえて、硝化に影響を与えないように有機物と分けるという方法をとった。

春田委員
アンモニア含有排水の処理の方法としては、触媒を使って酸化分解するという方法がすでに一部実用化が進んでいると思うが、この場合、簡単な有機物であれば同時に酸化分解できると思われるがその方法と比較して、本技術の特徴は何か?

研究参加企業
触媒を使った脱硝という方法は確かに出てくるもの、処理できるものいろいろな点で優れているところがあると思うが、ある程度、高温高圧というタイトな条件、つまりエネルギーを消費することとなる。本技術はマイルドな生物反応を利用するという点が特徴であると考える。

春田委員
触媒の方が処理が早いと思うが、速度の点はどうか?

研究参加企業
触媒の方が断然早い。本技術では、現在、生物処理の排水処理設備を持っている事業場での前処理や現場で使ってもらい、既存のパフォーマンスを上げるというメリットがあると考えている。

平成13年度研究成果報告会での評価/質疑応答

委員
石炭灰の性状は多少異なるはずであり、どういう対策をとったのか。

研究参加企業
確かに発生元によって性状が異なるため、12年度までの研究で、比重、含有成分などのデータを収集、分析した。まったく同じ性質ではないが、いずれの石炭灰を使っても、微生物の固定化、培養など一連の作業を達成でき、同様の成果を得ることができた。

委員
微生物がついた石炭灰が流出することはないのか。

研究参加企業
微生物に取り込まれなかった分は出てくる。石炭灰だけで出ていくこともある。また、これは一種の活性汚泥処理であり余剰汚泥が発生するので、それは抜き出す必要があり、その時一緒に石炭灰も抜くことになる。その時は、好適な培養条件を維持するために、石炭灰だけ追加すれば、凝集体の核となることは確認している。抜き出した石炭灰や流失した石炭灰については量的にも微々たるものである。もともと一種の焼却灰であり焼却処理するのが一般的で設備に負担をかけることなく処理はできる。

委員
窒素除去のみに注目しているように見えるが、石炭灰の中の他の成分(石炭灰の重金属等)が排水中に流出するおそれはないのか。

研究参加企業
金属が流出するときはpHの条件が必要となるが、通常は中性かややアルカリ寄りで処理しているので、通常の処理では、重金属が流出するということはない。

委員
石炭灰の利用はいろいろと考えられていて、その中で問題となるのは、重金属が大量に入っているということである。排水処理に使った時に重金属の問題なしで使えるならば、石炭灰の有効利用という観点から非常に良い技術だと考える。重金属等について注意を払って研究を進めてほしい。

委員
石炭灰の利用方法には困っている状況であるので、微生物の増殖に役立っているなどということがあると興味深い。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。