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ホーム > 交流・連携 > 平成23年度の事業 > UNFCCC締約国会議第34回補助機関会合においてサイドイベント開催

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掲載日:2011年8月3日

UNFCCC締約国会議第34回補助機関会合

SB34_Panel国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の補助機関 会合、実施に関する補助機関(SBI)および科学的・技術的助言に関する補助機関(SBSTA)の第34回会合が、また、長期的協力行動に関する特別作業部会(AWG-LCA)第14回会合、および京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)第16回会合が2011年6月6日(月)~17日(金)の日程で、ボン・ドイツにて開催されました。これら本会議に併せてCTIは「技術移転のための民間セクターファイナンスの運用」と題したサイドイベントを6月10日(金) 20:00~21:30に開催し、気候変動問題における技術移転課題に取り組む行政担当官、民間セクター、国際機関、NGOなどから30余名が参加するなか、PFANプログラム活動を中心としたCTI活動の進捗状況を報告するとともに、今後のCTI PFANの新たな取組みである適応技術分野における民間セクターファイナンスの概要を発表し、意見交換を実施しました。また本サイドイベントには、アジア開発銀行(ADB)の気候変動上級専門官およびカーボンマーケットプログラムチーフの久保徹氏に出席いただき、技術移転プロジェクトへの民間セクター投資の障壁について発表していただきました。 

CTI議長のElmer Holt氏はサイドイベントを開会し、CTIの活動目的は、環境保全に優れた技術および手法の開発と移転を促進することであると述べ、この目的の下CTIは民間セクターを中心に、UNFCCCや、政府機関、UNEP、UNDPなどを含む政府間機関など様々な国際組織と連携し、活動を行っていると説明しました。

久保氏は、技術移転プロジェクトの実施と民間セクター資金集結における障壁について、これらは個人的な意見であり、アジア開発銀行または、現在の出向先であるUNFCCC事務局の見解を代表するものではないと断った上、以下の通り発表しました。

<詳細>「再生可能エネルギープロジェクトの資金調達における様々な課題の内、投資家へのリスクを軽減し、投資環境を整えるためには、政府がブレのない政策および規制を確立すべきである。その他の課題としては、従来のエネルギープロジェクトに比べ、再生可能エネルギープロジェクトは初期投資が高額であるのに対し、リターンが少ないことや、エネルギー生産量が一定でないこと、オフテイカー(引き取り手)の信用リスク等がある。再生可能エネルギープロジェクトに民間セクター資金を呼び込む上で重要となるのは、ファイナンスおよび法的な評価だけでなく、ビジネスデュー・ディリジェンス要素として、市場分析、エンジニアリング検証、コーポレートガバナンス、環境および社会保護が挙げられる。ワークショップへの参加や簡易な研修コースを受ける程度では、これら全ての要素を盛り込んだ事業提案書を作成することは不可能に近く、民間セクターファイナンスの複雑さを理解している有能なアドバイザー/専門家や共同提案者を巻込み、利害関係者との協議に関与してもらうことが必要である。IEAの調査によると、現在の途上国のエネルギー需要に対応するためには46兆米ドルという莫大な資金が必要である。これは、公的資金のみではとても賄える額ではない。政府は、民間セクターが積極的に関与できるように、初期段階の事業開発支援を提供することで、市場で吸収することが難しいリスクの緩和に努めることが重要である。プロジェクトを開発段階から実施へと効率的に進めるためには、初期段階から経験豊富なアドバイザーに相談すべきである。官民パートナーシップ(PPP)は政府の政策を進めるためのツールとして捉えられるべきであり、優れた公的金融政策の代替ではない。」  

CTI PFANプログラムの国際コーディネーターPeter Storey氏は、プログラム概要、最新情報、成功事例ならびに今後の計画について紹介しました。

<詳細>「CTI PFANは、経験豊富な投資家とコンサルタントによるネットワークとして、事業開発者に専門的なアドバイスを提供することにより、彼らが実施しようとしているクリーンエネルギープロジェクトに係る課題を克服し、資金調達を支援する活動を行っている。CTI PFANプログラムは、多国間による国際イニシアティブであり、プロジェクト開発における助言および投資家とのマッチメーキングサービスを無償で提供している。政府関連機関による資金拠出に加え、同プログラムに参加する40余りのネットワークメンバーも、各々のサービスを安価に提供することでCTI PFANプログラムに貢献しており、これはプログラムの特徴のひとつである。CTI PFANプログラムでは、資金調達完了時に支払われる成功報酬を導入し、コンサルタントへのインセンティブを付加すると共に、追加的なプロジェクト支援が可能となるプログラムの持続的運営を目指している。CTI PFANは技術的に中立であり、プログラムで支援するプロジェクトに起用される技術の国籍は問わない。CTI PFANは現在、ラテンアメリカ、アジア、アフリカに地域ネットワークがあり、2011~12年には更に、中央アメリカおよびカリブ諸国、西アフリカ、CISおよび中央アジアにもネットワークを拡大する計画である。」

「CTI PFANは現在116件のプロジェクトに対して継続した支援を行っており、これらのプロジェクトの必要投資総額は26億米ドルで、年間5.5百万トンを超える温室効果ガス削減が見込まれる。CTI PFANはこれまでに28件のプロジェクトによる369百万米ドルの資金調達を成功させており、これによって280MWのクリーン・エネルギー供給と94.5GWhの省エネが可能となり、CO2換算で年間1.7百万トンの温室効果ガスの削減に繋がる。さらに5件のプロジェクトが現在投資家と商談中である。2010年度は、各地で7つのファイナンシングフォーラムが開催され1,100余名が参加した。フォーラムで発表された案件の内、13件が資金調達を達成し、168百万米ドルの投資を獲得した。」

「CTI PFANは、条約のメカニズムの下、商業的要素を持つプロジェクトを特定し、開発初期段階で公的支援プロセスから民間セクターファイナンスへ先導するという”フィルターの役割”を提供することができる。詳細については、現在UNEPおよびポズナン戦略プログラムプロセスに参加している国と協議中である。CTI PFANの持つ民間セクターのリソースと知識を活用して、途上国政府の実施したTNAにより提案されたプロジェクトを審査し、民間セクターによる資金提供が可能なものを特定する。そして、それらのプロジェクトに対しCTI PFANのサービスを提供し、資金調達まで支援するというものである。」

Holt氏はCTI PFANの新規活動である適応関連技術の導入プロジェクトに対する資金調達オプションの探究について、適応技術分野における民間資本の役割を促進することでCTI PFANの活動を更に拡充するものであると紹介しました。Storey氏は、今後12~18ヶ月の活動計画について、CTI PFANのプロセスを導入し、適応関連プロジェクトの資金調達の可能性を探る予定であるとし、以下のとおり説明しました。

<詳細>「適応関連プロジェクトにおいて、既存のCTI PFANアプローチを活用できるか、または調整を加えることで成功ツールと成り得るかを調査すると同時に、民間セクターファイナンスに適する適応プロジェクトの特徴を特定する。適応技術プロジェクトを数件選定し、実際に支援を行いながら、民間セクターと共に緩和技術同様の開発段階を経て資金調達を達成することが可能であるかを検証する。近日発表されるポジションペーパーは、適応技術に馴染みのない関係者へのガイドとなり、2011年8月~9月の開催を予定している適応技術とファイナンスワークショップに向けた指針となる。ワークショップでは、官民両セクターから利害関係者を集め、適応関連プロジェクトに関する課題を検討し分析する。CTI PFANは、2012年末頃発表予定の提言書でこの適応プロジェクト支援プロセスについて報告する予定である。この提言書は、適応関連プロジェクト支援におけるPFANスケールアッププログラムの計画と実施の基盤となる。 」

サイドイベントのプレゼンテーション資料(英語のみ)などは下記CTIウェブサイトからダウンロードできます。http://www.climatetech.net/events/index_new_detail.cfm?Page=1&EventsID=8259