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【報告】第1~3回ICETT資源循環セミナー(多様な資源循環関連技術の海外移転事業)

概要

 公益財団法人国際環境技術移転センター(ICETT/アイセット)は 令和6(2024)年度、企業、団体の皆様への情報共有を通じて、日本国内及びASEAN等海外での資源循環と、それに資するビジネスの促進に貢献することを目的に、「ICETT資源循環セミナー」を3回に亘り開催しました。
 各回とも会場とオンライン配信のハイブリット方式で開催し、終了後に会場では講演者と参加者を対象とした意見交換・名刺交換会を設けました。
 なお、3回分全体でのセミナー参加者の総数は489名でした。

背景・目的

 近年、サーキュラー・エコノミーの実現に向けて、資源循環の推進の重要性がますます高まっています。そこで、資源循環のグローバル性や開発途上国、特にASEANにおける資源循環ビジネス振興を見据えて、「日本の技術を核としたASEANへのビジネス展開」に重点を置き、実施ました。

内容

【第1回 ICETT資源循環セミナー:ASEANにおけるe-wasteの資源循環ビジネスに向けて】
 ・開催日:2024年10月11日(金)
 ・参加者数:計102名(会場:21名、オンライン:81名)
 第1回目は、ASEANにおけるe-waste(電気電子機器廃棄物)の資源循環をテーマに取り上げました。脱炭素やデジタル化の推進により高まる金属需要を背景に、ASEANのe-wasteは重要な資源として注目される一方、同地域においては、e-wasteの不適切な処理による環境汚染も深刻な問題となっています。経済・環境の双方の観点から日本とASEANの連携を強化することが重要視されている動向を踏まえて第1回目を開催しました。
 冒頭の基調講演ではASEAN諸国の現状が共有されました。一部では不適切なe-wasteの処理が行われている実情がある一方、シンガポールやベトナムを事例に適切なリサイクルを行うため拡大生産者責任の適用も始まっていることが説明されました。その後、経済産業省及び環境省により最新の政策紹介が行われました。その後、三菱マテリアル株式会社と株式会社アビヅの取組の紹介がなされました。
 ・プログラム内容:
  「ASEANのe-wasteを取り巻く状況」
    JETROアジア経済研究所 新領域研究センター 上席主任研究員/東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA) シニア・リサーチ・フェロー 小島 道一氏
  「日本とASEANのe-waste資源循環に向けた現状と今後の展望」
    環境省 環境再生・資源循環局 循環型社会推進室 主査 松浦 航氏
  「日本企業のASEANのe-waste資源循環におけるビジネスチャンス」
    経済産業省 GXグループ 資源循環経済課 国際資源循環管理官 上鑪 英樹氏
  「マレーシアにおける家電リサイクル事業の可能性」
    三菱マテリアル株式会社 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業推進部
    家電リサイクル室 家電推進グループ グループ長補佐 陶浪 暁彦氏
  「タイにおけるe-wasteリサイクル実証事業の経験」
    株式会社アビヅ 管理部 副部長 赤池 弘充氏
 ・当日の様子:

JETRO/ERIA 小島道一氏

環境省 松浦航氏

経済産業省 上鑪英樹氏

三菱マテリアル株式会社 陶浪暁彦氏

株式会社アビヅ 赤池弘充氏

【第2回 ICETT資源循環セミナー:業種を越えた連携による自動車の資源循環促進の可能性】
 ・開催日:2025年2月18日(火)
 ・参加者数:計252名(会場:33名、オンライン:219名)
 第2回目は、自動車の資源循環をテーマに開催しました。国際的な動向への対応や資源確保の観点から日本における自動車の資源循環の必要性が急速に高まっており、中部圏の基幹産業でもある自動車の資源循環について、最新の政策な先進的な取組を業種を越えた連携の視点を交えながら紹介しました。
 環境省と経済産業省からは、現在の自動車産業の資源循環の状況や、各省の施策紹介を行いました。環境再生保全機構からは「第3期戦略的イノベーションプログラム(SIP)『サーキュラーエコノミーシステムの構築』」での取組や進捗の紹介、豊田メタル株式会社からは会社や事業の紹介が行われました。
 ・プログラム内容
  「自動車産業の資源循環の推進に向けた環境省の取組」
    環境省 資源再生・資源循環局 総務課 資源循環ビジネス推進室 室長 河田 陽平氏
  「循環経済の推進に向けた自動車リサイクルの取組と今後の課題」
    経済産業省 製造産業局 自動車課 企画官(自動車リサイクル担当) 原 充氏
  「「第3期戦略的イノベーションプログラム(SIP)『サーキュラーエコノミーシステムの構築』」 における資源循環促進に向けた取組」
    独立行政法人環境再生保全機構 理事 福山 賢一氏
  「リサイクル技術高度化による自動車資源循環の促進」
    豊田メタル株式会社 常務取締役 工場長 金子 光司氏
 ・当日の様子

環境省 河田陽平氏

経済産業省 原充氏

独立行政法人環境再生保全機構 福山 賢一氏

豊田メタル株式会社 金子 光司氏

【第3回 ICETT資源循環セミナー:業種を越えた連携による自動車の資源循環促進の可能性】
 ・開催日:2025年3月26日(水)
 ・参加者数:計135名(会場:25名、オンライン:110名)
 第3回目は、繊維の資源循環をテーマに開催しました。日本としても大量生産・大量廃棄からの転換が課題と捉えており、政府による制度策定、企業や研究機関による技術開発、地域や産官学の連携などの資源循環を推進する取組が積極的に行われていることから、繊維産業を取り巻く環境、資源循環の現状や課題に対する知見を深めました。
 基調講演では、信州大学繊維学部の森川教授より、繊維の特性や製造技術の変遷、環境負荷低減に向けた取り組みが紹介されました。続いて経済産業省からは繊維産業を取り巻く最新の政策や動向が共有され、さらに、ニッケ(日本毛織株式会社)と中部電力株式会社の2社による先進的な取り組み事例の発表がなされました。
 ・プログラム内容
  「環境配慮設計・資源循環に向けた産官学連携の取組 ~繊維産業をモデルとして~」
    信州大学 繊維学部 教授 森川 英明氏
  「繊維製品の環境配慮等のサステナビリティへの対応について」
    経済産業省 製造産業局 生活製品課 係長 山下 大貴氏
  「ウール混衣料の回収・循環プロジェクト「WAONAS」」
    ニッケ(日本毛織株式会社)衣料繊維事業本部 マーケティング部 専門部長 馬場 武一郎氏
  「中部電力の「地域インフラ事業」のご紹介(資源循環の取り組みについて)」
    中部電力株式会社 経営戦略本部 地域インフラ事業推進室 営業企画ユニット長(課長)水谷 浩子氏
 ・当日の様子 

信州大学 森川英明氏

経済産業省 山下大貴氏  

ニッケ(日本毛織株式会社)馬場武一郎氏

中部電力株式会社 水谷浩子氏

成果と展望

 各回のセミナーで取り上げた製品や素材に関する現状や課題に関する情報を多角的に提供するとともに、今後の資源循環促進策について考える機会を提供することができました。講演後には講演者と会場参加者との名刺交換や情報交換も盛んに行われ、新たな連携や事業創出に向けたネットワークづくりにも貢献させて頂きました。
 ICETTは、2024年度で得た知見や参加者アンケート調査で頂いたご意見を参考に、2025年度も引き続きICETT資源循環セミナーを開催を通して資源循環の促進に貢献していきます。

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