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明日の地球のために

ホーム > 研修・指導 > 海外研修・技術指導 > 平成28年度の事業 > 平成27年度 独立行政法人 環境再生保全機構

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掲載日:2016年2月29日

平成27年度 ERCA 「海外派遣研修‐パラオ共和国」を実施しました。

 今回訪問したパラオ共和国は人口約2万人、国の面積は488mk3、屋久島くらいの大きさです。多くの観光客が美しい海での観光を目的として訪問しています。大小さまざまなパラオの島々の中で、今回の主な活動の場所は次の赤く囲ったコロール島、アラカベサン島、バベルダオブ島の3ヶ所です。

パラオ政府観光局地図

 目的:

 この事業では、独立行政法人 環境再生保全機構 地球環境基金の委託を受け、日本から民間環境活動団体のスタッフや参加活動経験を有する者、あるいは開発途上地域におけるNGO/NPOの環境保全活動への参加に関心を有するものを対象として、現場で活動する上で必要となる知識やノウハウ、技術を習得することを目的として実施しました。

概要:

 事前研修 (東京):平成27年8月29日(土)、30日(日)の2日間で、選考された研修生(社会人4名、大学生6名)が1泊2日の合宿形式で現地活動に向けて個人とグループでの調査テーマ設定、グループ作りを行い、またパラオに造詣の深い講師から派遣先の情報を伺いました。

 グループ名とテーマ:L.E.E.-環境教育

              Vamos!-持続可能な環境配慮した観光開発(エコツーリズム)

              MOTTAINAI-循環型社会形成

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現地派遣研修 ( パラオ共和国 )

 長期研修コースは、平成27年9月26日(土)~10月11日(日)

 短期研修コースは、平成27年9月26日(土)~10月4日(日)の日程で渡航しました。

 パラオに到着後、翌日からキックオフミーティングを行い、今回実施する活動については研修生が模擬的にNPOを設立しその中で活動を行なうことを確認しました。

 模擬NPOの名称:「Palau Japan ESD Project」

 目的:「自然保全と経済発展の両立」

 活動の手段:「環境教育」

 活動の中で、活動に先立ってまずパラオについて詳細な知識を得るために表敬訪問をしました。

  パラオ共和国の教育省にて、国務大臣Billy Kuartel氏、地域・文化大臣Baklai Temengil-Chilton氏、公共基盤・産業・商業大臣Charles Obichang氏を表敬訪問しました。大臣によると環境産業が中心のパラオでは、爆発的な観光客の増加によりホテルの部屋不足に加え、上水の不足、またインターネット環境が脆弱である課題を抱えているが、その対応としてホテルの部屋不足については民泊の導入を検討し、インターネットについても今後、海底パイプラインなどで改善をして、いずれはパラオで国際会議を開催できるようにしたいというお話しを伺いました。

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また、日本国大使館やJICAパラオオフィスも訪問し、日本とパラオはODAを通じて橋梁、上水道などのインフラ支援をしており、とても友好的な関係にあることが説明されました。

  NPOとして活動しているパラオ国際サンゴ礁センターの運営について、同センターを訪問した際は、センター長Yimnang Golbuu氏より課題とその解決に向けての努力や日本の大学との共同研究事業などについて伺いました。その後、併設されている水族館を見学し、このサンゴ礁センターは、海洋生態系の研究者にとってはボートで移動する際、研究対象の場所までの距離がとても近いことから研究しやすいためこの立地場所に設立されたという説明がありました。

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 渡航中、模擬NGO/NPOとしての活動の場として、コロール小学校とパラオ高校を訪問しました。日本で想定してきたいろいろなアイデアがパラオで実際に役立つ内容かを事前に検討、修正を加えるために、夕方の時間を利用してそれぞれの学校から先生方と生徒の皆さんに協力していただきました。研修生は話し合いの中で友好も深めることができました。

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その話し合いを経て、コロール小学校ではグループL.E.E.が「理科教育を中心とした環境教育」を実施しました。まず研修生はパラオでも入手可能な簡易な器具を使って細かくきったペットボトルを繊維にする実験を行いました。この環境教育授業で加熱された缶の穴から細かくしたペレットが細い糸となって出てくると参加した生徒からは、大きな歓声が上がりました。パラオではペットボトルを資源としてコロール州廃棄物管理センターが回収をしていますが「この理科実験でペットボトルの回収の必要性がよくわかった」という意見が驚きをもって多く寄せられました。

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 10月1日は、パラオの独立記念日です。研修生は滞在中に新首都マルキョクで開催されたイベントに参加し、来場していたパラオの人々とインタビューをしながら交流を図り、各州毎に運営されているブースでパラオの料理が販売されていたので研修生はそれらを試し、またステージで開催されているパラオの踊りや歌などを見て文化に触れることができました。MOTTAINAIチームはペットボトルからマイボトルの利用促進をテーマとしていたため、マイボトルを洗うためのアクリル毛糸で編んだエコたわしの編み方を通じて交流をしながらインタビューをしました。編み物はとても人気があり、持参した毛糸が無くなるほどでした。

 日が落ちてくる頃、正式な独立記念日の式典が行なわれ、レメンゲサウ大統領の挨拶や各国からの祝辞が披露されました。最後に友好の証として日本と台湾より持ち込まれた打ち上げ花火大会があり、研修生は盛大な独立記念日をパラオの人々と一緒に体験しました。

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 研修生は、パラオ最大の島でパラオの文化が多く残っているバベルダオブ島にある各小学校の校長先生のお宅や学校にて日帰りのホームビジットも体験しました。バベルダオブの名所・旧跡などに連れていって頂くなどパラオ独自の文化などを紹介していただくよい機会となりました。最初は、心配そうに出かけた研修生もいましたが、帰ってきた際には「行って本当によかった」という感想が多く出されました。

 滞在中、研修生は2回、訪問先や実習を行なって学んだことから提案をまとめました。「持続可能な環境に配慮した観光開発」をテーマにしたグループ「Vamos!」からはパラオを訪問する観光客をターゲットにした陸上部分の観光資源について観光客に魅力的に見える部分やその活用について提案を行いました。

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活動報告会

 平成27年12月10日(木)には、前日から集合して発表練習を行い現地活動の報告会に臨みました。現地でのグループ活動についてはA1サイズのポスターにして、個人テーマの調査概要はA4一枚にまとめ、会場の共有スペースに掲示しました。

 グループ「L.E.E.」から今月の模擬NPOの名称「Palau Japan ESD Project」や活動概要、目的を説明して、現地での活動内容や提案などを発表しました。各グループは活動報告会で現地での活動や気づきを発表しました。

会場の参加者からも多くの質問が出され、活発なディスカッションになりました。

研修生は、この派遣事業を通じて、

・現地に行ってみてわかることが多かった。

・支援をする時は相手の視点に立つ必要性を感じた。

・仮説を立てて立証していくことが困難であることがわかった。

・机上のアイデアを現地で一緒にやってもらうこと、それをどのように伝えたらいいのかなど現場力が必要となるので今回、現地で活動した意義は大きい。

などの感想がありました。

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今回の海外派遣研修の実施に際して、パラオ政府や現地の日本国 大使館、訪問させていただきました多くの団体の皆様に多大なご協力を頂きましたことを感謝いたします。ありがとうございました。