【パラオ通信Vol.8】コミュニティでの分別排出活動の開始




ICETTがパラオで実施しているJICA草の根技術協力事業「パラオ国バベルダオブ島における分別排出システムの普及促進事業」の近況をお届けします。
コミュニティでの分別排出活動の開始
活動対象地域のガッパン州、アイメリーク州に「資源回収ステーション(以下、ステーション)」が設置されました。
日本のステーションを参考に、パラオに適した分別排出ステーションを製作しました。2025年1月には各州知事によって分別排出活動の開始が宣言され、順次各地域にステーションが設置されました。その後、住民による資源の分別排出が本格的に開始されました。
分別するものは、主にプラスチックと金属、ガラスです。 住民には回収日が分かるカレンダーを作って配布しました。各州政府が週1回収集運搬を行います。
各家庭に設置したドラム缶に、あらゆる家庭ごみを混ぜて捨てていた住民にとって、ごみを分別して資源物としてきれいにして出すという取組は初めての経験です。パラオ国政府 公共基盤・産業省 公共事業局 廃棄物管理部(以下、BPW)や州政府スタッフ、Friends of PNMS(現地NPO)を含む活動推進チームは、この2州の住民に向けて集会や家庭訪問などで説明をして、理解促進に努めています。


住民への意識啓発
各州で開催する住民集会は、州政府のスタッフが会場の準備をしてくださいます。BPWのスタッフが、スライドや動画を使って住民に説明します。2025年1月の集会では完成したステーションのお披露目を行いました。ICETTが専門家と共に参加した集会では、実際の資源物を使って分別の練習なども行いました。また、先行して分別排出活動を実践している地域住民から体験談を語っていただくことなどもしています。

アイメリーク州

アイメリーク州

アイメリーク州

ガッパン州

ガッパン州

ガッパン州
BPWによって作成された分別方法(動画)はこちら
https://youtu.be/Tr2fbb0RuFs
対象地域の家庭を1軒ずつ回る家庭訪問には、住宅地図が必要です。最新の地図がないパラオでは、活動推進チームが自分たちで歩いて情報を整理して地図を作りました。
家庭訪問は、なるべく多くの住民が在宅している18時ころから回ります。パラオでは放し飼いの番犬がいる家庭も多く、1軒1軒家庭を回っていくと、街灯が少ないため辺りは真っ暗になっていくので、家庭訪問も一苦労です。 ICETTの活動では、この2州内の小学校(パラオでは6歳から14歳)でも、分別排出の取組みを促進しており、小学校に通う子どもがいる家庭は、分別排出活動の取組に対して意欲的でした。





ガッパン州、アイメリーク州の家庭訪問の様子
この活動をパラオ国内のより多くの人に知ってもらうために、ポスターを作成しました。ポスターは公共施設やスーパーマーケットなどに掲示されています。

2州で回収できた資源物の量によって、埋立処分場へのごみ量がいかに削減できたかが分かります。住民が主体的に取組む習慣が早く身に着くよう、学校での取組と合わせて効果的な地域への啓発を引き続きパラオの皆さんと一緒に頑張ります!
【ひとことパラオ日記】
パラオでの活動では、パラオ人にも日本のおいしい物を味わってもらいたいと、日本のスイーツやお菓子をふるまうことがあります。
夜間に実施した住民集会で冷たい“フルーチェ(牛乳を混ぜて作るヨーグルトのようなデザート)”を提供したところ、とても好評でした。 別の機会には、パラオの住民が「アホ」と呼ばれるココナッツと白玉で作った食べものをふるまってくれました。日本のおしるこのような、甘くて優しい味でした。

次回のパラオ通信をお楽しみに!