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掲載日:2020年4月2日

【報告】「パラオ国 ガッパン州イボバン、アイメリーク州モンガミにおける官民協働ごみゼロ社会推進事業(地域活性化特別枠)」の実施

三重県と公益財団法人国際環境技術移転センターは、パラオ国、公共基盤・産業・商業省公共事業局(BPW)、高校、その他協力団体などと共に、JICA草の根技術協力事業として2018年8月20日~2021年8月19日までの3年間で標記の「官民協働ごみゼロ社会推進モデル事業(地域活性化特別枠)」を計画・実施しています。

 

背景と目的

 パラオ共和国は、約488m2程の国土面積に人口は約2万人という小さな島嶼国で、美しい海に囲まれ観光客が多いときでは年間8.5万人*1もの人々が訪れることもあり、廃棄物量の削減が大きな課題となっています。

 このプロジェクトでは、パラオ国公共事業局(BPW)によって選ばれた2つの地域、ガッパン州イボバン地域とアイメリーク州モンガミ地域を対象として住民によるリサイクルを推進し、現在アイメリーク州に建設中の新最終処分場に投棄するごみの減量化を目指しています。*1パラオ政府観光局資料

                                                               palau

内容

1)現地での活動

 この事業では、活動初期に対象地域のイボバンとモンガミの住民の中から「ごみゼロ社会を推進するワーキングチーム(W/T)」を設立しました。 このW/Tは、パラオ国政府、州政府と住民とを連携させて、事業のリーダーとして継続して推進してもらえることを目指します。

 また、対象地域の住民だけでなくパラオの将来を担うパラオ高校やベラウモデクゲイ高校の生徒にも廃棄物の減量や再生化等を考えてもらう機会を提供し、継続して事業への協力をしてもらえることを目標としています。対象地域の住民に配布したリサイクル物回収カレンダーには、高校生により作成された啓発ポスターもプリントして紹介しています。

 今年度は、リサイクルステーションの完成後の1月から今までドラム缶の中に混ぜて捨てていたものの中から、缶詰の缶、ガス缶、プラスチック製の袋や容器等、飲料以外のガラス製容器、紙類(段ボール、新聞、コピー用紙)など5種類の回収物を決めて、イボバン地域、モンガミ地域に4ヶ所ずつ、リサイクルステーションを建設、設置し、それぞれリサイクルに回すことで処分場に投棄する量を削減できるように住民が分別に取り組んでいます。

 

2)本邦研修

  現地の活動に加えて、2019年6月11日から6月19日までの9日間、パラオ国政府及び州政府職員やW/Tメンバーなど8名を招へいし、三重県内で研修を実施しました。

 研修では三重県職員から廃棄物行政の取組みを、四日市市職員からごみ処理計画や環境教育について学んだ後、菰野町自治会のご協力により、行政に地元住民が協力してごみの分別を進めている状況を見学しました。その他にも、企業や公的機関を訪問し、廃棄物の最終処分や鳥羽市の漂着ごみへの対処、再生品の販売、そして遠からずパラオ国においても問題となることが予想される廃自動車のリサイクル技術などについても学びました。

 さらに研修員は、茶道体験により「日本文化の精神」に触れ、伊勢神宮参拝時には式年遷宮により建設技術の伝承のみならず、柱、鳥居、お札等についても継承されることも学びました。     

 帰国後、来日した研修員は、滞在中に見学した日本のリサイクルステーション等を参考にして、自分たちのリサイクルステーションの設計を検討する際にも色々な意見を出していました。

                                                                pic2

                                                                         廃食油のリサイクル(三重県内:石鹸づくり実習)

成果と展望

 この事業では、カウンターパート(C/P)のパラオ国政府公共事業局と共に住民集会を開催し、住民によく説明を行い、住民の意見をなるべく取り入れながら合意形成を図りつつ、事業を進めてきました。本邦研修の開催後は両地域の住民も招いて、合同で発表会を開催し、参加者に情報共有を行いました。網かごの作成やリサイクステーションの完成・設置を経て、住民の活動への参加意識も高まってきています。今まで全くリサイクルされていなかった5種類のリサイクル物が回収され、その都度重量を記録し、パラオ国公共事業局(BPW)より、どのくらい排出され、リサイクルに回せたかを住民に周知しています。さらに先行して活動を開始しているイボバン地域の住民は、リサイクルステーションの使い方や使用中に発生した課題についても住民同士で話し合いを行い、その都度、改善を提案する様子も出てきました。

 モンガミ地域についても利用を重ねるうちに地域的な課題が発生するものと思われますが継続的な活動のためにW/Tで自主的に話し合いを持ち解決に導いてもらえるようになっていくことを期待しています。今後も現地の活動を継続する中で、よりよい方法を見出して、パラオに根付くようにしていきたいと考えています。

                                                              pic1

                                                                           リサイクルステーションでの回収風景