【報告】タイ王国にてタイ工業省工場局と覚書の締結・記念キックオフセミナーを実施しました。

概要

　公益財団法人国際環境技術移転センター（ICETT）は5月15日、タイ・バンコク市内で、タイ工業省工場局（DIW）と、タイの産業界における温室効果ガス（GHG）排出量の算定・削減への支援等に関する協力覚書（MoU）を締結しました。
　また、本MoUの締結式とあわせて、5月15日および16日にタイ政府関係者や現地企業等を対象としたキックオフセミナーが開催され、カーボンニュートラル実現に向けた課題や対策・取組等について講演やグループワークが行われました。

背景

　環境保全の実現に向け技術移転等を行うICETTと、タイにおける産業界の「グリーン化」に向けた施策等を推進するDIWおよび駐日タイ王国大使館工業部との間で、令和5年度から互いのビジョンや取組・課題等について意見交換を実施してきました。その中で、タイにおける産業界の環境保全、特にカーボンニュートラルに向けた取組において協力する意義や方向性について双方で確認することができたことから、今回のMoU締結に至りました。
　DIWは、工業省内の一部局であり、工場の操業に関する許認可、工場の安全・環境管理、化学物質・有害物質管理、産業廃棄物管理を所管するほか、産業界におけるカーボンニュートラル等の「グリーン化」に関する施策推進等についても取り組んでいます。

内容

覚書の締結（2024年5月15日）

　ICETTの安井晃専務理事兼事務局長とDIWのJullapong Thaveesri局長が、主に以下の内容について確認し、締結文書に署名しました。覚書の概要は以下の通りです。

タイにおけるカーボンニュートラルの実現について、ICETTとDIW間の連携を強化し、協力する。具体的には、ICETTが有する同分野での知見を生かし、タイの中小企業のGHG排出量算定や削減対策に関するセミナーの開催、企業への伴走型支援（排出量算定や具体的な削減対策の検討・実施）等について協力する。
カーボンニュートラルのほか、クリーンエネルギー、資源効率・循環経済等に係る情報共有・交換等についても協力していく。

記念キックオフセミナー（2024年5月15日～16日）

　講演・グループワークを通じて、両国の講師・参加者との間で、カーボンニュートラル実現に向けた課題や対策・取組等について活発な質疑応答や意見交換が行われました。セミナーには関係者を含めて2日間で延べ約100名が参加しました。主な講演内容、講師は以下の通りです。

タイにおける温室効果ガス削減に係る政策（タイ気候変動環境局（DCCE：Department of Climate Change and Environment）　Sivach Kaewcharoen 氏）
日本およびタイにおけるカーボンニュートラルに関する政策（JETRO バンコク事務所　宮口莉央氏）
カーボンニュートラルに向けた日本企業の取組事例（ICETT　西澤淳）
カーボンニュートラルに向けた経営に取組む重要性およびメリット、サプライチェーンを通じたGHG排出量（Scope1,2,3）の算定方法の概要（超え環境ビジネス株式会社　冨澤昌雄氏）
タイにおけるグリーン産業認証制度（DIW　Kittinat Sopar氏）
参加企業等を対象としたカーボンニュートラルへの取組に関するグループワーク
（超え環境ビジネス株式会社　冨澤昌雄氏）

今後の展開・取組等

　ICETTおよびDIWは、このたびのMoUにもとづき、タイにおけるカーボンニュートラル実現に向け、同国の中小企業等を対象とした現地セミナーの開催や伴走型支援等を行い、GHG排出量算定の取組の普及や具体的な削減対策の検討・実施について取り組んでいく予定です。今後の具体的な取組として、今年度中にタイにおいてカーボンニュートラル実現に向けた取組に関するセミナーを2回開催する予定です。

写真

MoU締結式・記念キックオフセミナー


MoU締結の様子	記念品贈呈の様子	セミナーの様子

関係機関およびICETT職員による講演


DCCE Sivach Kaewcharoen 氏	DIW Kittinat Sopar 氏	ICETT 西澤淳	超え環境ビジネス株式会社冨澤昌雄氏