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掲載日:2021年4月27日
CFRPの工程端材や廃材のほとんどは埋立処分をされており、リサイクルによる活用体制が十分整備されていない状況に加え、将来的には更に航空機等使用済みの廃材が大量排出されることも予想されています。世界に先駆けたCFRPリサイクルビジネスを中部地域で形成するため、優れたリサイクル技術を有する企業の販路開拓支援を目的として本事業を実施しました。
2020年5月に、経済産業省より「循環経済ビジョン2020」が策定され、CFRPは「循環システムの検討が急がれる分野」の1つに位置付けられました。中部地域には、使用済みCFRPからのリサイクル炭素繊維(rCF)回収技術を有する、川上にあたる優れた企業もあることから、そのリサイクルの流れが川中(中間基材メーカー)を経て川下(最終製品メーカー)まで円滑に繋がるよう、販路開拓支援を目的として、本年度は事業者間の連携強化に係る取組を中心に実施しました。
(1) CFRPリサイクルに関する川上~川下企業間のネットワーク構築
炭素繊維リサイクルをテーマとした「CFRPオンライン・EXPO」を2021年1月21日に開催しました。専門家による講演会やパネルディスカッションを通じた情報提供、各事業者の動画等による技術展示、並びにマッチング商談会などを実施しました。
なお、別途実施された経済産業省本省の調査事業における国内研究者等の委員会メンバーへも本件を周知し、関係者間の情報共有促進を図りました。このほか、個別にも川中の事業者を中心としたヒアリング及びマッチングを実施しました。
(2)CFRPリサイクルの市場獲得に繋がる国内・海外動向調査
国内におけるrCF製品の普及と定着の参考として、欧州におけるrCF活用状況を調査しました。また、欧州研究機関等とは今後の共同研究や連携強化を視野に入れた意見交換を行い、関係構築を図りました。
(3)グローバル・ネットワーク協議会(GNCJ)との連携
rCFユーザー候補である大手ゼネコンとのオンライン会議等の実施にあたり、GNCJワンストップ相談窓口を活用しました。
「CFRPリサイクル・オンラインEXPO」により事業者間のマッチング機会を提供することができ、商談の結果、優良案件も創出されました。今後、その実現・サプライチェーン構築が大いに期待されます。また、欧州研究機関との意見交換を通して、日欧の現状や課題に対する共通点も明確化されたので、今後の取組に活かしていきます。